「イシューからはじめよ」を読んだ

概要

有名な自己啓発本である 「イシューからはじめよ」

http://www.eijipress.co.jp/book/book.php?epcode=2085

を読んだので以下のような内容について章ごとにメモする。

  • 得られたノウハウ、
  • その他の感想。

はじめに 優れた知的生産に共通すること

ノウハウ

  • 「悩まずに考える」
    • 「悩む」とは、答えが出ないという前提
    • 「考える」とは、答えが出るという前提

感想

仕事では答えが出ない問題は必要ないよねということでバッサリ切り捨てているが、これについてはかなり共感した。

オタクなので水槽の脳とかシミュレーション仮説とかが好きだが、こういうのも結局答えが出ないのでロマンを語る場面以外は考えるだけ無駄だよねという感覚でいる。それと似たようなことだと思った。

序章 この本の考え方

ノウハウ

  • 「仕事のバリューは、解の質とイシュー度で決まる」
  • 「犬の道を避ける」
    • 「犬の道」とは、解の質を一心不乱に上げることでイシュー度を確保するアプローチのこと
    • まずイシュー度を高め、その上で解の質を高める方が時間効率が良い

感想

「斬新で革新的なものには名前をつけろ」という話が後々出てきたが、犬の道と名前をつけたのは確かに良かったんじゃないかなと思った。

言ってることは結局無駄な仕事を避けろということだが、そのためにはイシュー度を上げることが大事というのがこの本の本質だろう。
なので、第1章の内容は重要だが他の章は重要度が低い。

第1章 イシュードリブン

ノウハウ

  • 「スタンスを取れ」
    • 強引にでも具体的な仮説 (イシュー) を立てる
      • イシューに答えを出すため
      • 必要な情報が何か把握するため
      • 結果の解釈を明確にするため
    • とにかく言語化する
      • 言語化できない状態で明瞭な思考を行うことは難しい
  • 「良いイシューとは以下の3条件を満たすもの」
    • 本質的である
    • 深い仮説がある
    • 答えを出せる
  • 「一次情報を漁る」
  • 「情報を集めすぎない」
    • 集めすぎることで自分独自の視点が消える
  • イシューを見つからない時は以下を行う
    • 変数を削る
    • 視覚化する
    • 最終系から辿る
    • so what?を繰り返す
    • 極端な事例を考える

感想

イシューを言語化すること、イシュー度が高いかどうかを定期的に見直すことが重要だと感じた。

「情報を集めすぎない」についてはエンジニア的には半分程度しか納得できなかった。確かに限界効用的に情報を集めすぎてもコスパが悪いというのはその通りだが、
独自の視点よりも車輪の再発明をしないことや仕様を見落とさないことの方が大事なのではないか?

第2章 仮説ドリブン①

ノウハウ

  • 「イシュー分析で解の質を高める」
    • ストーリーライン
    • 絵コンテ
  • 「イシューをサブイシューに分解する」
  • 「ストーリーラインを組み立てる」
    • ピラミッド構造の2つの型
      • whyの並び立て
      • 空・雨・傘

感想

エンジニア的には分割統治法になじみがあるのでサブイシュー云々に新鮮さはなかった。

ストーリーラインの2つの型についてはプレゼン時に使えそうなので覚えておきたい。

第3章 仮説ドリブン②

ノウハウ

  • 「ストーリーを絵コンテにする」
    • 絵コンテとは最終的なグラフや図表のイメージ
  • 「分析とは比較すること」
    • 定量比較の3つの型
      • 比較
      • 構成
      • 変化
  • 「原因と結果から分析軸を考える」
  • 「数字が入ったイメージを作る」
  • 「意味合いを表現する」
    • 意味合いの本質
      • 差がある
      • 変化がある
      • パターンがある
  • 「データの取得方法を明示する」

感想

これらもプレゼンの型として考えれば使えそうだった。
要するにプレゼン資料作りを想定して行動しろということで、いかにもコンサル出身らしい発想だなと感じた。

一方で、仕事では結局は誰かに話したり資料に残したりする必要はあるので、こういう意識は大事かもしれない。

第4章 アウトプットドリブン

ノウハウ

  • 「前提と洞察から取り組む」
    • ストーリーラインの中で絶対に崩れてはならない部分を潰しておく
  • 「完成度を上げるよりも複数回取り組む」

感想

特に崩れて欲しくない実装には自動テストが欲しいよねというのと同じような感覚だった。

また、ある程度の完成度で誰かに見てもらいフィードバックをもらうというのもよく言われていることなので新鮮味は無かった。

第5章 メッセージドリブン

ノウハウ

  • 「ストーリーラインを磨き込む」
    • そのための3つのプロセス
      • 論理構造を確認する
      • 流れを磨く
      • エレベーターテストに備える
        • 偉い人とエレベーターで一緒になった時に説明できるか?
  • 「チャートを磨き込む」
    • 優れたチャートの条件
      • イシューに沿ったメッセージがある
      • 軸の広がりに意味がある
      • 図表がメッセージを支えている

感想

このあたりもコンサル的だなと感じた。 プレゼン技術としては有用そう。

まとめ

「イシューからはじめよ」のノウハウと感想をまとめた。

名著とされているイメージだったが内容が薄いように感じた。というか学者的なアプローチを期待していたらコンサル的なアプローチだったのでガッカリしたというような感想だった。

一方で、本文でも以下のように書かれている。

「僕は今、自分にできる限りの深いレベルまで、知的生産におけるシンプルな本質を伝えた。あとは、あなたが自分で経験する以外の方法はないはずだ」
(中略)
「経験しないとわからない」と書くと「じゃあ、この本は何のためにあるのか?」と言われそうだが、
この国では論理思考や問題解決において、新しいツールの紹介のようなものばかりが行われ、本質的な知的生産についての議論が足りないように思う。
この本が共通の議論のベースと実践の手がかりとなればと願っている。

ということで、起こせる行動の変化としてはノウハウを意識に入れつつ自分で試行錯誤してみるくらいだろうし、それを目指しているようにも読めた。

時間が経ってこの本の内容を思い返した時に印象が変わるといいなという期待と共にレビューを終える。