概要
中村昇著の「ウィトゲンシュタイン『哲学探究』入門」をAudibleで読んだので感想をまとめる。
感想
ウィトゲンシュタインの思想
ウィトゲンシュタインというと、
語り得ぬものについては沈黙せねばならない
とか、
語の意味とはその使用である
とかが有名だが、全体的に「答えが出ない問題を考えても仕方なくね?ワロタ」みたいな感じがあって、それは考え方が似ていて共感があった。
自分との比較
ただ「語り得ぬもの」とか「語の意味」とかそういうものへの諦観が強いように見えた。
自分は広義の意味では決定論者で、所詮有限なこの世の全要素を記述すれば全てを記述可能なはず、という立場。
したがって、この世のatomicな要素を全て物理的に記述すれば確率的に「語り得ぬもの」は無くなるはず、と思っている。この点では少し見解が違った。
まあその上での有限なステートマシン的なものとして人間を見ている自分の方が、諦観が強い可能性もあるが……。
書籍自体の感想
また、解説者の思想が(入門書なので当然だが)出過ぎていたので、原著を読みたくなった。
自分の思想とウィトゲンシュタインの思想が似ていたのか、ウィトゲンシュタインから引用された文は全て非常にしっくり来たので、こういう変なやつはきっと入門書のターゲットではないんだろう。
そのせいで、途中で聴く気が無くなってきてしまった。
とはいえ解説自体はとても良いもので、英語とドイツ語の違いについての解説などの補足情報が非常に丁寧だった。
普段そういうことを考えてない人にはとても良い。
自分も非常に参考になったことは明記しておく。
Audibleについて
散歩中に本を読みたくてAudibleを使ってみたが、非常に良かった。
まず画面を目の前に持っていなくても良い。これだけで要件としては満たされていた。
倍速にできるのも個人的には非常にマッチしていたし、読み手の声も聞き取りやすい。
ラインナップが変な自己啓発本やビジネス書ばかりなのが残念で、もう少しちゃんとした本が増えるともっと使いやすいのにもったいないサービス。
まとめ
総じてもう少しウィトゲンシュタインに踏み込みたくはなった。
厨二病のまま大真面目に成長してしまった自分としては、似た思想の人間を常に探している節があって、ウィトゲンシュタインは比較的近いかもしれない。
次は哲学論考かな。